2017年05月12日

五五菊しんぶん 三

 四月二十八日金曜日 晴 朝寒し 昼ぽかぽか

 算数のテスト

 ツルとカメが計8個、足が計26本あるとき、ツルとカメはそれぞれ何羽、何匹いるか、ただしツルの足は2本、カメの足は4本とする。

 8個がみなツルだとすると、足は16本。10本足りない。しかしツルを1羽へらして、足の多いカメを1匹ふやすと足が2本ふえる……しかしまだ8本たりない。

 そこで、このツルとカメの交代をあと4回行い、ツルを7羽から3羽に、カメが1匹から5匹になれば、めでたしめでし、足が6+20=26本になる。

 しかし、実は初めからツルが3羽、カメが5匹いたとすれば、このような交代を行うまでもなく、ツルとカメが合計で8個、26本いたのだということが分かる・・・

 ようするに、ツルはもっとも多くても8羽しかいないので、もし1羽なら足の合計が30本になり、もし2羽なら足の合計は28本、もし3羽なら足の合計は26本、あっ見っけた!と順に調べてゆくほうほうを手っ取り早くやってみた。

 なるほど算数というのは数を算える科目であるということがわかる。良い問題である。ただ、ツルとカメの他にからかさ小僧が加わり、ムカデが加わり、足がなんまん本という話になると数えるのもたいへん。算えかたをもっとくふうしないといけないことになるが、これは中学でならうようだ。

 算数は決まった数を求めるので、はじめから答が決まっている。その答をうまくかくしておき、せいとにあてさせる。いっしょけんめいに数えて答の数を見つけ出す。人が殺されたあとで犯人をみつける名たんていににている。

 しかしじっさいの世の中はこれよりはるかにこんぐらがっている。しかも数えるだけでは答が出ない。犯人はたった一人だったとしても、いつのまにか何万人という疑わしい人間がいる。あとから事件を見てきたように思い出せる裁判官もいない。いないが思い出さなければならない。

 千五百年前に聖徳太子という人がこんなことを言っている。
 彼がイエスと言えば私はノーと言う。私がイエスと言えば彼がノーと言う。確かに私はバカかもしれないが、彼がバカだとはかぎらない。しかし二人ともただの凡夫であることは間違いがない。どちらがが正しいかどうか判断するすることは出来ない。二人とも利口だバカだと言っても、ちょうど丸い輪に切れ目がないように、バカの頭は利口の尻につながり、利口の頭はバカの尻につながっている。利口とバカの境目は誰にもわからない と。

 今日は話が長く、しかもこんぐらがってきたのでここまで(記事 五年五組 藤原しづ)

posted by ゆふづつ at 23:04| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする

2017年04月19日

五五菊しんぶん 二

昭和三十六年四月十九日水曜日晴れ

 先日、キューバでピッグス湾事件というのがあり、あたかも私に関係があるかのように言われましたが、私は豚ではありません。むしろイノシシです。ふがふが。もっともピッグス湾というのは現地スペイン語でバヒアデコチノス、豚野郎の湾という意味だそうですから、少し当たっています。

 私の姉は家がつぶれ、ふた親も早くに亡くしたので高校もやめて働き出しました。そのため勉強はまったくできませんが、なまじ頭が空っぽなために、ときどきみょうな知恵をあみ出すことがあります。

 その中のひとつに、「人は鏡、鏡は心」ということばがあります。人は世の中を見ることにより自分を知り、自分の心が分かるという意味だそうです。一見何のことかわかりませんが、ようするにお前の母ちゃんがデベソだという人は自分がデベソだということです。

 今朝は庭に霜がはっていたのに、学校についたら汗が出ました。汗。寒暖差が20度以上。ではみなさんごきげんよう。(記事 五年五組 藤原しづ)

posted by ゆふづつ at 20:27| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする

2017年04月10日

五五菊しんぶん 一

昭和三十六年四月十一日火曜日くもり

 このしんぶんの名前は「五五菊しんぶん」。本当は記者がわたしだけなので「藤原壁しんぶん」なのですが、そのうち五組も新聞委員が増えるかもしれないので学校の名と町名とを採ってみじかくしました。

 さて五年五組の長い一年が始まりました。本日は転入生の小島均くんのことを書くことにしました。小島くんは見ての通り、顔が満月のようにふくれています。これは喘息の薬のせいなので、もともとは目がぱっちりと大きく、好い男なのかと思います。

 喘息は夜中に息が苦しくなる病気のようです。この薬がないと苦しくてやっていられないそうです。しかし勉強もお行儀もなかなかの優等生。優秀な生徒が少なくないこの学校でもけっこう目立つかも知れません。病気を持って普通より小さな体なのに偉いと思います。

 家は清滝の市営住宅にあります。近所の人は寄ってみてください。ただし自分が訪ねてよろこばれる人かどうか、じっくり考えたほうがよいでしょう。もっとも、じっくり考えるような人は、あんがい考える必要はないのかもしれません。

 と、まあ今のところはこのくらいのことしか書くことがありません。四月ですが、まだ朝晩は寒いですね。かぜを引いたり、体調をくずさぬよう、がんばってください。(記事 五年五組 藤原しづ)

posted by ゆふづつ at 23:48| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする