2017年01月20日

花火 九

翌朝、ごそごそといふ音に目を覺ますと、カツが臺所で鍋を煮てゐた。

「あれっ、平氣なの?」

「うん、何だか熱も冷めたし」

「蟲は出たの?」

「分からない。ともかく凄くお腹が空いてね。朝ごはんにしよ。なにか文句あるのかい?あんたもお腹空いたろ。お米が全然減ってないぢゃないか。猫もげっそり瘦せてるよ。ちゃんとご飯やったんだらうね」

 ともかくも二人と四匹でご飯を濟まし、カツは會社へ、靜は學校へでかけた。

 夕刻、カツが仙道醫師に聞いた事によると、どうもカツの症狀は囘蟲ではなかったらしい。便には異常が無かったし、どうもただの風邪を囘蟲と勘違ひしたのだらうと言ふ。お蔭で靜まで念のため驅蟲劑を服まされる羽目になった。

「惡かったねぇ。お詫びに今日の夕飯は鰻にしようか」



posted by ゆふづつ at 19:48| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする