2013年05月30日

岡邊 十二

 結構な苦勞人でな 東京の大きな商家に勤めながら 夜間の學校に通ったこともあるやうだ

 經營者からは見込まれてゐたらしいが なまじ頭がいいから敵も多い 結婚してまもなく辭めざるを得なくなって こっちへ戻って來た

 うちの親父と遠い姻戚だったこともあって ここへ勤めるやうになったんだ 彼のお蔭で會社が繼續出來たといふ事情もあった 親父も一目置いてゐたから 僕なんか尚更だ

 まだ大したお歳でもないのに なぜお辭めになるのですか

 こんな小商人に定年制なんかないんだけど やはり 時々は空氣の流れを良くしなければいけないだらう

 同じ人が同じ仕事を續けてゆくと どうしても慣れから來る歪みといふか 氣のつかぬ盲點といふものが出來る 君も何か感じないか

 ぐびり



posted by ゆふづつ at 00:24| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする