2013年04月30日

月代 十九

 ともかくも家の改築は その川路といふ男に任せることにした 條件はただ一つ 猫が家の中だけで生活できること

 とはいへ 注文主であるカツ自身 大豪邸ならいざしらず 四十坪ほどしかない二階屋で そんな家は見たことがない

 だいいち 人間は出入りしなければならないのだから 猫だけ閉じ込めるのが難しい 猫を閉じ込めれば 人間が出られない

 河路は注文を聞いただけで何も言はなかった 何やらアイデアがあるのだらう ともかくもそれに期待するしかない

 あぁ それにしても靜は何をしてゐるんだらうか 猫を慣らすとか何とか言って 藤さんに頼んで笠掛に殘ったが 或はそのままづっと笠掛にゐるつもりなのかしら

 母親とこの姉を置いて 居心地のよささうなあの笠掛の家に居座るつもりなのか それはそれで重荷を下ろしたことになるだらうけど 心の中を風が吹き抜けて行くやうな寂しさを覺える




posted by ゆふづつ at 00:00| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする