2012年08月30日

母親

「お父さんが亡くなったのは學校へ上がって間もない頃だらう。お母さんも外へ働きに出る時間が長くなったり、生活ががらっと變はったのぢゃないか」

「本當にがらっと變はったね。内のお袋はああいふ性格で、もともと教育熱心ぢゃなかったけど、親父が死んでからは教育のキョの字もなくなった。

 まぁ、こっちも生意氣で、お袋のことは餘り尊敬してなかったから、教育も糞もなかったといふのが本當のところだらう。家の中は普通の母子のやうな關係ぢゃなくて、何といふか年の離れた小母さんと小生餓鬼が共同生活を營んでゐたといふやうな感じだったかなぁ」

「よく言ふよ。しかしお母さんのことは好きではあるんだらう」

「そらぁね。しかし、子供の頃は自分の母親を恥ぢてゐるやうな處があった。何たってああいふ母親だ。いはゆる普通の母親みたいなお母さんに憧れる氣持ちが強かった」

「そんなお母さんがあるものか。靜さんみたいな好い母親はさうさうゐないと思ふよ」



posted by ゆふづつ at 00:00| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする