2012年07月30日

魂と世

「魂と世とは別々の言葉だよね。魂は人の意識主體、世は人の意識の客體とでも言ふかね。

 さうだとすると、魂と世といふ異なる語がある以上、やはり両者は別個のものである、と我々の常識は考へるだらう。

 しかし魂が世の存在に左右され、悲しんだり喜んだりすることも確かだ。つまり魂と世とは相互に影響され合ふ、謂はばある種の依存關係にあることも確かだらう」

「つまり、例へば酒に醉へば物がぐにゃっとして見えるし、逆にまた美人はブスよりも賢く見えるといふやうなことか」

「この魂と世の關係について、両者を切り離す考へ方と、或は一方を他方のコピー若しくは反映と考へる考へ方もあるね」

「両者が全く無關係なものとすると、それこさ我々は早く悟りを開き、いちいち世の中のことに一喜一憂すべきぢゃないだらう。しかしそんな人生は生きる甲斐もない。人生、悲しみがあるか樂しみがあり、歡こびがあるから憤ることもあるのさ。

 また、もし、一方が他方のコピーだとすると、そんなコピーまで作って我々を惱ませる神樣もいよいよ頼りない。そもそもコピーなんぞオリジナルより落ちる譯だから、無視するべし。そしてもし無視するなら、それは唯の唯物論または觀念論と紙一重だよ」



posted by ゆふづつ at 00:00| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする