「君は人の話を勝手にまとめる癖があるやうだね。女が生きることと、人が生きるといふことは同じことだらう。人の理想が政治に反映しない譯がないぢゃないか。
一に曰く、和(やはらぎ)を以て貴(たふと)しと爲(な)し、忤(さか)ふること無きを宗(むね)とせよ。
人は“やんはり”してゐなけりゃならない。なぜならコチンコチンだとひっくり返ってしまふし、また反對にぐちゃぐちゃだと踏み潰されてしまふ。しなやかなのが一番強いのだ。
“忤(さか)ふる”とは、反作用である。壓されれば撥ね返さうとする力だ。壓されたら、同じ力で押し返してはならない、といふのだ。“やんはり”と受け止めなければならない。この“やんはり”の力は建物の耐震構造のやうなもので、どんな構造物もその固有周期を大きくすることにより、大きな地震波も吸収することが出來るのである」
「さう考へないと高いビルヂングなんて登れなくなるよ」
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