2012年01月29日

穢れ

「さうかねぇ。私たち、そんな非道いこと云ったっけ」

「確かに、世の中には非道い戀もあることは確か。いや、むしろ非道い戀の方が多い。ひょっとしたら非道くない戀は珍しいかも知れない。

 しかし、自分にダイヤが手に入らないからと言って、この世にダイヤが無いと言ひ切るのもをかしいだらう。そんな詰まらない話を、當のダイヤをたんと持ってゐる人の前でしたら、どう思はれる。赤面の至りといふ奴ではなからうか」

「そんな前振りはいいから。とっとと、理性女より氣狂ひ女に抱かれるべき理由を述べよ。もしとんちんかんなこと言ったら承知しないよ、本當にね」

「わかった。しかしまぁ落ち着いて。その理性は必ずしも氣狂ひに優るものぢゃないことを、まづ知らなければならない。あなたも知っての通り、我々がいま毎日お米の御飯を戴けるのは、あの天に輝く天照大御神のお蔭だといふことは分かるね?」

「あぁ、天に掛けても」
 
「では、その天照大御神は、黄泉の國からお歸りになった伊邪那岐の命が、川の水で穢れた左の御目を洗ったときに成り出でましたのを知ってゐるかな?」



posted by ゆふづつ at 00:00| 日記 | 更新情報をチェックする