2011年07月31日

ことのは 三

 天の主の神はアブラミに曰ふた。
「お前は新しい土地へ進め。お前は大いなる民となり、幸ひを得、災ひを免れる。お前は大いに稱へられよう。これは地のあらゆる民族の幸ひの元となるのだ」

「人間が増長し、神をも恐れぬやうになった爲、神は人に分派を作り、いはば相互不信の状態を作り出した譯だらう。それを今度は、アブラミによって、ふたたび統合しようといふのかな」

「そのやうだな。もしアブラミによる統合がならぬなら、人間はバラバラのままか、或はまた増長して神に逆らふか、おそらくは前者なのだらうな。なぜなら、もし後者になった場合は、神も手に負へなくなるか、又は人間との約束を破り、再び洪水を起こすか。いづれにせよ神としての體面は無くなるだらうから」

「つまり、人間としては、今のまま他人といがみ合ったままでゐるか、または増長しない統合を選ぶか、どっちかになるのだらうな。しかし、増長しない統合などといふことがあり得るのかな」

「そんなのは知らない。もしそんなことがあると分かってゐれば、人間はもっと賢くなってゐただらう。しかし平和は少なくともその數の何倍かの戰爭を要求する。戰爭や武力による威嚇なしに平和が維持出來るといふのは、警察がゐなくなれば泥棒もゐなくなるといふのと同じだ」




posted by ゆふづつ at 00:00| 日記 | 更新情報をチェックする