2011年07月30日

ことのは 二

 天の主の神が、地へ降り、人の子の建てた町と塔を見つけた。神は天へ戻り、かう曰ふた。
「今に人の子らは手がつけられなくなる。地へ降り、人の子の言葉を散らし、その統合(スメラ)を解かうではないか」

 かうして、人の子の言葉は通はなくなり、互ひに背向くやうになった。力を合はせることが無くなり、町を築くのを止めた。 

「なるほど。人の増長と暴發を防ぐ爲に、色々な言語を造り、人を分裂させたといふ説明だ。しかし、言葉は民族毎に異なるだけぢゃなく、方言のやうなものがあり、また職業や身分等によっても多少は異なるだらう。細かく言へば、世界に全く同じ言葉遣ひをする人間は二人とゐないとも言へる」

「さうだとすると、人に個性があるのも、人が團結して神に逆らふのを防ぐための措置だといふことになりさうだ」

「しかし、ここはもう少し素直に考へようではないか。人は一人一人違ふものだから、所詮は神樣の方が偉いのだと。この神話はさういふことを教へてゐると考へることも出來さうだ」

「しかし、人間界はさう素直ぢゃない。どんな文明も文字や度量衡、貨幣を統一し、思想も統制しようとする。統制にはその中心になるものが必要だから、指導者、リーダー、さういふものが必要になる」

「ただ、もう一方では、人は權力を分散し、なるべく國民の自由を保障しようとする傾向もある。人類の歴史はこの両極を揺れて來た、或は両者のバランスに苦慮して來たとも言へるだらう」



posted by ゆふづつ at 00:00| 日記 | 更新情報をチェックする