2011年06月28日

ふみ 四

 話は戻るが、カヒが殺されたあと、その弟が産まれた。

「それは誰の子なんだ。俺に似てないな」
「トシが殺したカヒの代はり。神樣が惠んで下さったのだは。セツといふのよ」

「惠まれたお前はよいだらうが、俺の立場はどうなるのだ」
「あなたは尊い御子の育ての父。大きな惠みを背負ったのだは。感謝しなさい」

 そのセツにも、大人になると男の子が生まれた。セツはその子をエノと呼んだ。

「お前は俺の子だ」
 とセツは云った。
「ではお前のチンチンは?」

「人の親をお前と呼ぶな。チンチン上と呼べ。俺のチンチン上はツチといふ」
「そのツチのチンチン上は?」

「分からん。それが分かるほど賢いなら、俺がぢかにお前を産んでゐる。しかし、殘念ながら、俺はトリの卵ひとつ産めぬ體だ」

「そんな譯の分からん物を拜む理由は」
「理由はない。理由が分かる程のモノなら、最初から拜む必要なんか無い」




posted by ゆふづつ at 00:00| 日記 | 更新情報をチェックする