2011年02月27日

かぜ 一

 五時の閉門後、急いで衞視室へ戻ると、エアコンの風が心地好い。もう六月に近く、今週は晴天續きで氣温もぐんと上がった。

「今日は結構出てたんべ」
 衞視椅子の岩村太郎が立ち上がりながら云った。
 坂前が、「さうだな。二百人は超えたんぢゃないかな」

 平日の入場者は少なくて百人内外、多い時で三百人以上、といふのが大方の目安だった。これが民間企業ならとうに潰れてゐる。その三百人、飮食物等を含んだ賣上げにして三十萬圓程度。その爲に從業員五十人以上が働いてゐた。

 警備は佐藤といふのが辭め、當分は坂前も含めた五人態勢で賄ふことになる。佐藤は高齡でもあり、センタア事務からもやや不安視する意見があった。他のスタッフとも折合ひが惡かった爲、支社に嘱託を解かれた。お蔭で今夜の宿直も居殘りの岩村兼男と坂前の二人が勤めることになった。



posted by ゆふづつ at 23:00| 日記 | 更新情報をチェックする