2016年12月28日

花火 五

 今日は花火大會だね 丘のお宅からも見えるだろ

 少し遠いけどね 手の平ぐらゐの大きさに見える

 そんなに近いのかい ここからは あの森の陰になって見えない 空がパッと明るくなって それから音だけ聽こえるんだ 一度 丘のお宅から見てみたいね

 來れないの?

 いつか行けるやうになるといいね

 早く來ないと かつさんが嫁に行くかも知れない

 そしたら あのお宅はどうなるのだえ

 賣ればいいさ

 猫達は?

 白井さんといふ知り合ひが飼ってくれるよ

 外へ出たことのない猫なんだろ


posted by ゆふづつ at 00:06| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする

2016年12月21日

花火 四

 お前 藤三郎さんところのお子達に絶縁狀出したんだって?

 絶縁狀なんか出してない ただ もうわたしのことは忘れてくれと言っただけ

 それを絶交っていふんだよ なぜ そんなこと言ったの ・・・なに默ってるの 藤三郎さんから伺った お前のことを心配していらしたんだよ さぁ正直に答へな 

 もしか聖田にゆくことになったら また何かと關はりが出來るし お互ひに迷惑がかかるから お互ひ知らん顏の方が

 はぁそれがお前の猿智慧かい 何がお互ひ知らん顏だよ そんな芝居がかったことで人の縁が切れるものか お前は人さまに頼らなければならない身の上 こっちから縁を切ってどうするんだよ 向かうにも餘計な迷惑がかかるだけぢゃないか

・・・お前はいつもさうだよ 頭の中で考へ過ぎてへまをやる 人間はお前が考へるほど賢くはない いいか 人樣が氣にかけてくれる内が花だと思ひな 自分一人が偉くなったら 誰にも相手されなくなる わたしゃお前のそんな姿は見たくないよ


posted by ゆふづつ at 22:14| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする