2013年02月22日

問答歌 四

 おカツさん ひょっとしたら 月代になんか越すのは 私の爲なのですか

 確かに それもありますが 笠掛の亡くなった社長さんの奥樣が 月代に昔のお友達がいらして 紹介して下さったんです

 お仕事も 今までのやうに 車の運轉と配達 それに注文取りのやうなことですから 馴れるのにも時間はかからないでせうし 靜も かうして大人しく 普通よりしっかりした子に育ってくれましたから 慣れない土地でも大丈夫でせうと思ひまして

 本當にさうなのですか 貴女のことは心から信頼してゐますから 何も申し上げることはありませんが そちらからも すべて正直に打ち明けて下さいね

 はい 私も肉親がをりませんから 十二分に 甘えさせて戴いてをります 仕事はどうなるか分かりませんが 靜は 來たいときに ここに來させようと思ひますから 一人で來させることもあるかと思ひます

 ねぇ 靜 社長さんも亡くなられて 笠掛の店も無くなったのは辛いけれど 靜がいつでもお母さんと會へるやうになったのは 本當によかったよね 



posted by ゆふづつ at 00:00| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする

2013年02月21日

問答歌 三

 さぁ 行かうか ピロ子ちゃんは きっと好い居場所が見つかったから そこにゐるんだよ

 萬が一 ここに來たら 女將さんや娘さんが知らせてくれるし 餌もやってくれるんだから 心配はないよ

 そりゃ 確かにね もうこの家は誰も住んでないし 女將さんも娘さんのところだ けれど半年もすれば家が建って 女將さんも戻って來るんだからさ

 それに 富雄君にも頼んだんだろ? 鐵ちゃんには? えっ どうなの

 鐵ちゃんの家は お勝手に大きな犬がゐるからね 猫が怖がるよ それに鐵ちゃんは歸りが遲いし 猫の世話なんか無理

 でも 一應頼んだんだろ 鐵ちゃん自身は出來なくても あそこは福子ちゃんもゐるし お姉さんだって お母さんだって みんないい人だよ

 でも ああ さうか 犬がゐたねぇ ピロ子ちゃんは臆病だから 近づけないかねぇ でもまぁ 便りがないのは 無事な徴 この邊りの猫は 誰かが餌をやってゐるのさ 心配は要らないよ



posted by ゆふづつ at 00:00| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする

2013年02月20日

問答歌 二

 もう一度 河原を探してみよう あぁ 暑いね こんなとこにゃ ゐないか

 水邊は涼しいよ

 さうか 猫は水飮みに 行くかも知れないね

 でも 冬はどうするんだらう

 ピロ子ちゃん たぶん秋に生まれたんだよね 一度 冬は凌いでゐるんだから 大丈夫だらう

 春に生まれたのかも知れないよ

 ううん でも野生動物はみんな さうなんだ 嚴しい冬も 暑い夏も 乘り超えなきゃ 生きて行けない

 逆に言へば 乘り越えなけりゃ 死ねばいい

 死は惡いことぢゃない どうにも行き詰まった時のご褒美かも知れないんだよ

 ただね 人間の世界では 死は いけないことになってゐる さう考へないと 直ぐに死ぬ人間が出て來る

 どんなに一人ぼっちの人間も 人の體は最後まで生きようとする それを持ち主である本人が見捨てるやうでは 駄目なんだ 神樣だか何だかが 許してくれる迄はね




posted by ゆふづつ at 00:00| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする