2012年10月18日

ミニヨン

 美容院。ミニヨン。何がミニヨンだ。シルベスタの頭は、どっちかといふと床屋だろ。思ひっきしお河童にして、さっぱりしな

 ただ、その顏の四角はごまかしやうがないな。いっそカンナで削ってもらふといい 
 
 あんたはどうする。二時間ぐらゐかかるよ。退屈したら、外へ出てもいいけど、三時には戻って來なよ。あい

 と五圓玉をくれた。さうか。五圓でつるつもりかな。何だらう。今日はゐないが、この店のマスターかしら。しかしバッタみたいな顏をしてるし。王子樣には遠いね

 清兵衞が死んでから、シルベスタも少し元氣がない。ここでまた旦那みたいなのが出來、元へ戻ればいいのに。五圓はありがたいが、そんな氣を使ってる場合ぢゃない




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2012年10月17日

美容院

 今日は美容院へいくよ

 またビョウインかい

 さうだ。あんたがお河童になったから、あたいも綺麗になんないとね

 うそ言ってんぢゃないぞ。人を置き去りにするつもりだな

 あんたはどうする

 じゃまにならないやうにするんだろ。いいから安心していきな。あたしはどうせ身寄りのないたんぽぽのホ

 ホホホのホ ふはふは
 かうして 風に流されていくのさ
 さいなら
 どうか 自分だけ綺麗になって
 王子樣でも みつけておくれ



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2012年10月16日

蟹カマ

 さぁ床屋へ行くよ

 またあそこかい

 坂を下り、野原を突っ切って行った先に、それはある。床屋とは云ひながら、ふつうの玄關の上り框に腰掛け、挾みで刈って貰ふだけ

 髮を指で梳き上げ、默ってチョキチョキと切って行く。蟹のカマキリのやうなをばさんだ

 その間、シルベスタはどこかへ行く。先に終って待ってゐると、カマキリが懷紙に氷砂糖を載せたのを出して呉れた。こっちは好いお客なのかな

 お河童に刈り揃へるのはいいが、ぜんぜん似合はねんだよ。出來損ないの金太郎ぢゃないぜ。だいち顏は赤いし。これでお湯屋へ行って鏡を見るのが怖い

 氷砂糖をガリガリ齧ってゐると、ガラっとシルベスタが迎へに來た。蟇口から十圓玉を出し、チャリっとカマキリへ渡した


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