2012年06月21日

西戎

「その、あんたの、日の本だけはまともな國で、それが烏滸しくなったのは外國、特にシナの風俗文化が入ってからだといふ主張は、シナ人には勿論、今の知識人、似非インテリ諸君には受け入れられない考へ方ぢゃないか」

「さうだらうね。さういふ連中を説得しようとは思はない。西戎(から)の風俗を受け入れた連中は、理屈ばかり達者で、自分の體で物事を考へようとはしない。勝手にしろだ。

 子が親のことを馬鹿にし、親が教師を馬鹿にし、教師は政府を馬鹿にし、最後はあらゆる價値を否定する。今、變な宗教やオカルト、インチキ占ひを信じる若者が増えてゐるのも、さういふ世界の裏返しに過ぎない。

 しかし小賢しい連中は、それも經濟や教育、社會制度の問題にすり替へてしまふ。さうして好き勝手な処方箋を編み出し、偉さうな顏で解説してゐる。もはや救ひ難い狀態だが、この國にはまだ全うなものが殘ってゐる。それを頼む他はないと思ふ」


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2012年06月20日

獨り

「十七曰 夫事不可濁斷 必與衆宜論 少事是輕 不可必衆 唯逮論大事 若疑有失 故與衆相辮 辭則得理

 十七に曰く、

 獨りよがりの考へは、我ながら大したもんだと思ふが、よく落ち着いて考へて欲しい。

 もし、その考へが、なるほど尤もだと言ふ場合には、きっと、お前以前に、同じことを考へた人は千萬人もゐるに違ひない。

 にも關はらず、自分で新發見だと思ふなら、それはお前がただの物識らずか、ただの僻者のどちらかだらう。

 分かったか?分かったら、そんな生意氣な考へはやめろ」

「自分の考へが、本黨に新しくて獨自なものかどうか、それを調べるのは難しいのぢゃないかね」

「まぁ今はインタネットの検索技術が進んでゐるから、たいていのものは検索に引っかかって來るだらうけど、それでも見つからない場合は、やはり人に聞いて見ることだ。一所懸命に探せば、世の中に賢い人はいくらでもゐる。さういふ心構へがあるだけでも、獨りよがりの獨善に陥るのを防ぐことが出來る、かも知れない」


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2012年06月19日

みくに

「十六曰 使民以時 古之良典 故冬月有間 以可使民 從春至秋 農桑之節 不可使民 其不農何食 不桑何服」

 十六に曰く、

 人に物を頼むときは、相手の事情を辨へろ」

「當り前のことだけど、つい忘れがちになることは確かだね。特にこっちが困ってゐるときは、頼まれる人のことを思ひやる餘裕がない。しかし、自分が同じ事を頼まれたら、って考へると、やっぱり相手を思ひ遣るのは必要だと思ふ」

「無理に頼み込む、或はそれを斷わる。これは人間關係が切れる大きな原因になる。難しい問題だね。無茶なことを頼まれると、頼まれた方は、いったいこいつは人のことを何だと思ってゐるんだ?と思ふだらうし、斷わられた方も、こいつはさういふ奴だったのか?と思ふから」

「しかし一方、無茶な願ひを聞き入れたら、無二の親友になれるチャンスかも知れない。西洋にも、必要の友は眞の友といふ諺がある」

「東洋にも、貧賤の交はりは忘るべからず、糟糠の妻は堂より下さず、といふ慣用句がある」

「日本には、さういふ教訓的な諺は少ない。強ひて言ふなら、

 皇国(みくに)はし 日の神國と ひとくさの こころも直し 行ひも善し

 漢(から)ざまの さかしら心 うつりてぞ 世人(よひと)の心 惡しくなりぬる

 以上、本居宣長」




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