2012年06月24日

判決

「嘗てスサノヲの命が天上の天照大御神の御田を壞し、水路を埋め、ダイニングに糞を撒き散らしたりと、好き放題を爲さったときに、天照大御神は弟スサノヲの行爲を咎めず、

“あたしの可愛い弟の命(みこと)が糞をしたのは、醉って吐き散らしちゃったんでせう。また田を壞したり、水路を塞いだりしたのは、土地をもっと廣々としたかったに違ひないは”
 と。

 天照大御神は、弟の酷い行爲に戸惑ひながら、なんとかその心を汲んでやらうと、辯護人のやうな屁理屈を仰った。その御心の深さを思ふべきだらう」

「けれど、スサノヲの惡行は改まらず、なほエスカレートするんだらう」

「しかし、どうせ改まることもあるまいと、最初から決めてかかることもあるまい。刑罰は、やむを得ない必要限度に抑へるべきだ。

 禍事を惹き起こした人間を憎むのは人の情であるが、他方、罪を犯した人間も、その人なりの事情があり、自分で好んでねぢ曲がってゐるのではない。罪を憎んで人を憎まず。

 ただし、眞に已むことを得ざることあるときは、幾百萬の人を殺しても貫くべきことはある。その時その時の狀(さま)により、何が宜しいかの判斷は、必ずしも理屈ばかりではなく、宜しく、つまり思ふ心の全てを動かし、謀ふべきなのである」

「言ふは易く、行ふは難し、の典型だね」


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2012年06月23日

禍亊

「戰後、日本の刑事法もアメリカ流に變はり、特に最近は裁判員制度など、急速にアメリカ化してゐる。これなどはドイツ風がアメリカ風に變はっただけで、どうってことないといへば、どうってことないよね」

「刑事裁判など、自分には關係ないと思ってゐる人も多いだらうが、近頃は痴漢冤罪も多いやうだし、捜査機關による證憑の捏造なども珍しくはなくなった。ある日、いきなり手錠を嵌められる日が來るかも知れない」

「そもそも支那の法が入る前は、日本の刑事司法はどうだったんだ」

「そもそも刑事司法なんてなかったんだよ。もちろん、喧嘩や泥棒、人殺しなんてのもたまには有っただらうが、それは今言ふところの犯罪とは違ひ、公の問題ではなかった。公が犯人を探したり、見つけた犯人を処罰することもなかった。すべて、いはば被害者と加害者の私的な關係として片づけられてゐた」

「逆に言へば、そんなことが放置されるほど社會が平和だった譯だ。しかし現在のやうに複雑な社會では時に嚴罰を以って臨むことも必要だらうし、實際、法定刑も重くなり、刑の量定も重罰化の方向に進んでゐる。これも國民一般の感情が反映してゐるんだらうけれど?」


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2012年06月22日

必然

「ただ、注意すべきは、外國の惡習が入って來たのも、もちろん偶然ではない。人智の及ばぬ善惡の神々の御爲業としか言ひ樣がない。

 だから、ただ外國の惡習の入る前に戻るといふだけでは、零したミルクを、泥のついたままコップに戻すといふに等しい。それでは、まだ何もしない方がましだといふことになる」

「つまり、言葉も人の心も變はった。それは必然のことであるから、絶對、元には戻らないといふことなんだらう。ぢゃあ、我々の世の中を良くするには、いったどうしたらいいんだ。昔には戻れない。しかし、このまま流れに任せて行くことも出來ない」

「結局は上古を鏡としながら、上古にはなかった特別のことを考へ合はせ、愼重に對處する他はない。例へば、原子力。これは極めて厄介な技術で、戰後の日本に多くの電力を供給して來た反面、今囘のやうな事故が起これば、廣い範圍に渡って大きな損害をもたらす。

 この事故はもちろん偶然で起きたものではないだらう。しかしこの事故や、その引き金になった大地震がなぜ起きたのか、その本當の理由を知る人はゐない。

 しかも原發の問題は單なる健康や經濟問題だけではない。日本だけが原發を止めても、中國やロシア、北朝鮮、アメリカの核が近い内に無くなる可能性はなく、世界平和は核戰力のバランスによって維持されてゐる。アメリカの對外政策や中國の内政次第によっては、極東の軍事バランスはいつ崩されるか分からない。

 それが崩れかかった時、もし日本が核技術や高純度の兵器級プルトニウム等を持ってゐなければ、北朝鮮のやうな國の恫喝にさへ屈することになりかねない。これは問題の一例に過ぎない。どんな問題も、ほかのあらゆる問題と結びついてゐる」



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