2012年05月31日

SMA

「人間はひとりひとり、他と違って作られてゐる。顏も違ふし、體つきも違ふ。むろん性格や物の捉へ方、感じ方、考へ方もすべて違ふ。一卵性の双子さへ、似てはゐるが別の心を持つ。

 何か一つの物が正しいとするなら、自然は隨分と無駄なものを造ったことになる。

 しかしそんな馬鹿なことはあるまい。と我々の常識は考へる。ひとりひとりみんな違ふのは、何か神妙な理由があるに違ひない。ブスに生まれた女は神樣は不公平だと怒る。アホに生まれた男は神も佛もないと泣くだらう。しかし泣いても喚いても、我々は自分以外の物にはけして成れないのだ。

 この覺悟が定まったときから、人の眞ともな人生は始まる。しかし定まらないまま一生を終へる者も多い。その差は“やはらか”かどうかにかかってゐる。

 堅い者は直ぐに折れ、もう立ち直ることが出來ない。しかし柔らかい者は百八十度に折られても、元に戻る亊が出來るのだ」

「まるで形状記憶物質みたいだね」




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2012年05月30日

フレクシビリチ

「それで、話を元に戻すと、その女の理想を政治に反映させたのが十七條の憲法だといふ譯なのかい」

「君は人の話を勝手にまとめる癖があるやうだね。女が生きることと、人が生きるといふことは同じことだらう。人の理想が政治に反映しない譯がないぢゃないか。

 一に曰く、和(やはらぎ)を以て貴(たふと)しと爲(な)し、忤(さか)ふること無きを宗(むね)とせよ。

 人は“やんはり”してゐなけりゃならない。なぜならコチンコチンだとひっくり返ってしまふし、また反對にぐちゃぐちゃだと踏み潰されてしまふ。しなやかなのが一番強いのだ。

“忤(さか)ふる”とは、反作用である。壓されれば撥ね返さうとする力だ。壓されたら、同じ力で押し返してはならない、といふのだ。“やんはり”と受け止めなければならない。この“やんはり”の力は建物の耐震構造のやうなもので、どんな構造物もその固有周期を大きくすることにより、大きな地震波も吸収することが出來るのである」

「さう考へないと高いビルヂングなんて登れなくなるよ」 




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2012年05月29日

心うつくし

「すべて女は やはらかに 心うつくしきなむ よきことと薫は言ふけど、“心うつくしき”とは?」

 俗に言ふ“目に入れても痛くない”ことで、心を許し、自分の無償の愛情を注ぎ込みたくなることだ。

 すべて女といふものは、柳の木のやうにしなやかで、硬からず、折れず、しかも男がこの女の爲なら命さへ捧げたくなるやうなのが好い。と言ふのだ」

「確かに。さういふ女がゐたら、少なくとも男にはベストだらうね。さうさうゐるとは思へないけれど」

「だから男はすべてマザコンになるのだ。“やはらかに、心うつくしく”母は育ててくれるからだ。母は子の爲にその人生の全てを捧げ盡くす。

 實際、大昔は出産と同時に亡くなる母親も珍しくなく、女の平均壽命は卅にも届かなかった。母親は文字通り、子の爲に命を捧げ盡くす存在なのであるから、これを理想としない子はあるまい」

「今は自分の人生の片手間に生む母親も多いし、それさへ厭ふ女も多いのぢゃないか」

「それも一時的な話だ。結局は女が命がけで育てた子、さういふ國が榮えて行くのだから」



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