2012年04月24日

ヤマト

「最近、日本の没落といふことが言はれるけれど」 

「げっ、そこまで言はれてゐるのか。信じる者は救はれるといふことを知らないのか」

「みんなそこまで馬鹿ぢゃねぇってことだよ」

「お前もか」

「まぁね」

「この國も日の没したままになるといふことは、神世の昔からあった。しかし諦めずに頑張りゃ程もなく明けるといふのは尋常小學校で習はなかったか?」

「そんな古い話を知るか。しかし、日本が世界で最も古い國だといふ話は本當かね。シナは?インドは?イランは?ギリシャは?」

「インドは多民族國家で、現在のヒンディー語も、14世紀以降に生成された言語だらう。だから十三世紀以前に天竺にあった國が、今のインドの前身とは言ひがたい譯だ。少なくとも、例へば漢書地理志の言ふ倭人が現代日本人の先祖であるといふ意味での連續性がない。

 さういふ意味ではシナも、古代の漢民族と今の漢民族とは全く違ふし、廣い意味での漢民族が續いてゐるとしても、途中で元や清、金といった異民族に征服された時代が長い。

 これもまた奈良時代の“日本”と今の“日本”が同じ國だと言ふ意味で、隋や唐が今の中華人民共和國と同じと言へるかどうか、際めて疑問だ。朝鮮も8世紀以前には遡れない。百濟や高句麗は民族的にも殆ど滅亡してゐるし、初期に朝鮮半島を統一した新羅と後の高麗は言語的、文化的連續性が不明だ。

 イランも、今のペルシャ語はせいぜい8世紀ぐらゐから出來た言葉で、それ以前のペルシャ語とはかなり違ふし、今のギリシャ語も東ローマ帝国成立後の11世紀以後の言葉だ。古代ギリシャ語とは全く違ふ。

 この點、4世紀前半に實在したと考へられてゐる景行天皇の皇子、ヤマトタケルの御歌、

 やまとはくにのまほろば、たたなづく、あをがき、やまごもれる、やまとし、うるはし

 は、誰がどう見ても日本語であることは素人でも分かる」




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2012年04月23日

無駄

「十七條憲法(いつくしきのりとをまりななをち)の次の言葉は端的に我が國の古法を表したものだらう。

 一に曰はく、和を以って貴しとなし、忤(さから)ふこと無きを宗(むね)とせよ。人みな黨あり、また達(さと)れるもの少なし。

 ここをもって、あるいは君父に順はず、また隣里に違(たが)ふ。しかれども、上(かみ)和(やわら)ぎ、下(しも)睦(むつ)びて、事を論(あげつら)ふに諧(かな)ふときは、すなわち事理おのづから通ず。何事か成らざらん。

 人は和(やはらか)いことが最も貴いことなのだ。人の氣持ちを逆なでしないやうにせよ。

 人にみな癖があり、聞く耳を持つ者は少ない。だからこそ目上の言ふことを聞かず、また仲間と諍ひをする。

 しかし、さういふ人間でも、上の者が物柔らかにし、下の者がこれに懷き、よく話し合へば、物のことわりもよく通るだらう。どんな問題も解決が出來るだらう」

「話して分かるなら警察も裁判所も軍隊も要らないね」

「それでも最初から力でぶつかるよりいいのだ」



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2012年04月22日

いつくしきのり

「後鳥羽上皇の倒幕軍を破った北条泰時の承久の亂(1221年)とか、後醍醐天皇に叛旗を翻した足利尊氏の延元の亂(1336年)だとかは惡逆の所業であり、彼らは默って朝廷に討たれよ、とあんたは主張する譯だ」

「君君たらずといへども、臣以って臣たらざればあるべからず、とシナの孔子といふ男が云った。

 たとひ君子が君子らしくなくても、臣下はあくまで臣下として振る舞ふべきだ、といふことだ。孔子こそシナの聖人には稀な眞人間といふべきではないか。

 といふより、人類は何十萬年と、それこそさういふ傅へでやって來たのであり、孔子はその最後の息吹を傅へた人と言ふべきだらう」

「その傅統を日本で最初にはっきり云ったのは、やはり十七條憲法かね」

「古事記にもその流れは傅へられてゐるのだが、確かにはっきりとその考へ方を打ち出したのは、支那から入った儒教がすっかり我が國の傳統を曲げ、特に6世紀以降にすさまじい下克上の社會を作りつつあったからだ」




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