2012年04月27日

神勅

「まぁ、實のところ云って、あたしもあんたの、その、上を立てるっての?その思想が分からないでもない。もうこの年になると、若い子から馬鹿にされるのも辛いからねぇ。

 それにかう見えても、人の上に立って仕事をすることがあるから、昨日今日入った未熟者にいちいち細かい説明をするのも正直面倒なことがあるよ。うっせいてめぇ默って人の云ふこと聞けこのやろーって、喉元まで出かかることがあるけどさぁ、一應かう見えてもか弱い婦女子の立場であるからして、辛抱してゐる譯だはさ。

 それで百歩譲って。あんたの言ふ通り、人には貴賤があり、黴菌より馬が偉いのと同樣、鳥獸より人の方が偉く、百姓より君主の方が偉いことは認めよう。

 それでシナでは百姓が王朝を倒し、君主に成り上がることが常だけれど、この皇朝においては、かかる逆臣も時たまは出るけれども、それは例外的で、概ねは神武天皇以來の皇統が續いて來た。

 しかもその皇統は神武天皇に始まったのではなく、天照大御~の神勅により始まり、さらに遡っては天神七代、五天神にまで遡るのだよねぇ?

 で、嚙み砕いて云ふと、その五天神はなぜ生まれたのか、それが分からないと、結局は理屈拔き、問答無用の神勅といふことになるのかな。それでいいのかい?」



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2012年04月26日

唐天竺

「あんたがさう考へたって、世の中がさうぢゃないんだから仕方ないだらう。今はもうアメリカ流の競争社會になって、ある程度の勝ち馬に乘らないと結婚さへ出來ず、絶滅確實種になっちゃふんだよ。ボロは着てても心は錦みたいなこと言っても、所詮は引かれ者の小唄だね」

「おぉ引かれ者の小唄で結構。俺は我が道を行く。しかしこの國はお天道樣がお照らしになる國だ。きっと眞心は殘って行く國だ。さうしていつかこの國が傾いたとき、さういふ引かれ者が支へてくれる」

「馬鹿云ってんぢゃないよ。御天道樣なんか世界中を照らしてゐるんだ。口に氣ィつけな」

「ありがたう。醉ってもないのに涙が出て來るよ。ところで御天道樣が四海を平等に照らすと拔かすお前は、もちろん、この國に文明を齎したのは唐天竺だと言ふのだな」

「その唐天竺って言ひ方も止めな。そんなのもう死語なんだよ。そんなアナクロを言ふから笑ひ者になるんだ」



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2012年04月25日

貴賤

「さて、ここで話を元に戻すが、人には貴賤の區別がはっきりあるし、あるべきだと思ふ。お前は無いと云ふ。

 ならば、お前は社長の前に出たとき、社長をアンタ呼ばはりするのか。人に貴賤はないのだから、あんたと俺とは對等であり、會社と自分とはただ勞働契約の當事者の關係だといふのか。

 當然、自分の馬鹿息子の卒業式に出ても、國旗や校旗に敬意を拂ふこともなく、君が代が齊唱されても鼻糞をほじくりながら、ふん反り返ってゐる譯だ」

「私もそこまではしないよ。一應の禮儀は心得てゐるつもりだ。自分が嫌ひなものでも、人が尊むものは、必要がない限り惡しざまにはしない。そんなのは社會的に最低限のマナーだらう」

「その“必要がない限り”が問題だな。お前はきっと、かういふだらう。俺が必要と認めるときは貴賤の區別など無視するが、どうでもいいときは區別したことにしてやらうと。

 だから、親もそれなりのことをすれば親だが、さうでもない親はいつでも張り倒すことが出來る。社長も正しく會社を經營してゐる限りは業務命令も聞いてやるが、をかしな命令には斷乎逆らふことが出來る。その考へ方が世の亂れを作ると俺は考へるのだ」



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