2012年03月19日

國粋主義

「こないだ、何かの本を讀んでゐたら、日本人はユダヤ人の子孫だといふ話があった。日本の天皇家もユダヤから來たんだと」

「さういふ話は幾らでもあるだらう。たいていは話を少し聞くだけで眉唾ものだと分かる。その天皇家とやらは何?そんな概念は明治以降に西洋の Royal Household などから作った概念だらう。そんな言葉使ひ一つで日本史に關する無知が露呈するんだよ」


「けっ、この國粋主義者。私に嚼み附くな」

「その國粋主義といふのもな、明治以後、日本が所謂列強、グレイトパワーと呼ばれた英吉利、佛蘭西、墺太利、普魯西、露西亞に呑み込まれないやう、明治政府が急進的な歐化策を取った時に、それに對するアンチテーゼとして生まれたものなのだ。

 つまり、歐化策を煎じ詰めるなら、とっとと歐米人と混血し、全部歐米の制度を眞似た方が早い。しかし、それは結局は歐米に屈し、獨立を放棄したのと同じぢゃないかという理屈だ」

「ははぁ、それで所謂和魂洋才みたいな?さういふ考へ方が出て來たわけだ」

「いや、國粋主義には、もっと深い考へ方がある。單なる利己的、狂信的な排他主義ではなく、人間にはその核とも呼ぶべき文化的バックボーンがあり、その背骨を入れ替へてしまへば、我々の精神は死ぬと云ふことなのだ」

 
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2012年03月18日

アレゴリ

「今は、いはゆる神話の類を、一種のアレゴリ、喩へ話だと考へる人が多い。しかし、なぜ神話が喩へ話で語られたかの理由を尋くと、昔の人は知的能力が低かったので、幼児に説き聞かすのと同樣、分かり易く喩へたのだ、などと云ふ。

 しかし、この考へがをかしいことは、少し考へれば分かる。神話を傳へてゐたのは、その傳へてゐた時代の人間なのだから、自分たちの知的レベルで傳へるのが普通だらうからだ。

 神話を傳へるのに、自分たちの子や孫が自分たちより幼稚だから、もっと分かりやすく齧み砕く必要があるなどと考へる人がゐるだらうか。

 現代人が、自分たちの未來の子孫に自分たちの考へを傳へようとするときに、未來の人間はおそらく知的レベルが幼稚であるから、もっと分かりやすく喩へ話などで書き殘さうとするだらうか。こんなに人を馬鹿にした話はあるまい。

 或は宗教的立場から、神は人間にも分かり易いやう、嚼み砕いて物事を諭したのだとも云ふ。しかし、神が特に神に似せて創造したとかいふ、その人間に物を教へるなら、始めからその人間、或いはその子孫のレベルに合はせるぐらゐの親切はあってもよい筈である。


 だから、傳へられた神話は、昔の人がその思想を、彼らなりに、大眞面目に殘したものだと考へるべきなのだ」



 
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2012年03月17日

泥んこ

「それで、結局、そのウヒヂニの神、イモスヒヂニの神って、何なの」

「その名の通りさ。書紀はもう少し親切に、ウヒヂは埿土のこと、スヒヂは沙土のことだと注釋がついてゐる。今はこれに從ふとすると、ウヒヂは、どろどろに水氣を含んだ泥。スヒヂは、その水と泥が分離した塊を云ふ。

 ウヒヂニ、スヒヂニのニも土の意味で、ハニワのニだ。要するにこの二神は、例の浮脂のごとく宙に浮いてゐる物が、ウヒヂニ、つまり後の海の部分と、スヒヂニ、つまり後の洲、陸地に分かれた部分を云ふのだらう。

 さう考へれば、海のウヒヂニが先に在り、後から陸地が現れたと解釋出來るので、分かりやすい」

「確かにねぇ。地球誕生は46億年前だけど、45億年前には、すでに大氣中の水蒸氣が冷やされ、原始的な海が地表を覆ってゐた。氣壓の關係で二百度もの熱い海だったらしいけどね。そして大陸が現れたのは40億年程前だと言はれてゐる」

「すまないが、ここでは現代的な解釋はさておき、昔の人が信じてゐた傳承を見て見ようと思ふ。神話を現代風に解釋するなら、そもそも古事記なんか讀まず、自分で科學的だと信じる神話を書くがよいのだ。たとひその神話が二千年先に笑はれものにならうともね」




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