2011年06月24日

たま 八

 男の怒りは収まらない。
「お前は夫を裏切り、ヲロチを受け容れた。お前は夫を求めつつ、チンチンに扱き使はれるがよい。さうして、チンチンの子を産んでうんと苦勞するがいいのだ。ザマミロ」

 しかし女も默ってゐない。
「でも木の實を食べたあなたも同罪でせう。ヲロチに騙された私も馬鹿だけれど、その馬鹿に騙された貴女はサイテー。あなたの爲にこの地は臺無しよ。もう貧しい作物の爲に、あなたは死ぬまで働かなけりゃならないのよ。そして死んだら元の土くれに還るといいのだは」

 かうして二人は世界最初の夫婦喧嘩を續けながら、樂園を後にした。そこが何となく居辛かったからである。

 が、それは二人にとって幸ひであった。樂園にあったもう一本の木。その實を食べると死ねなくなるところだった。もう一本の木さへ食べ、智慧をつけてしまった彼らが、命の木の實をも食べてしまふなら、二人は果てしの無い夫婦喧嘩を續けなければならなくなっただらう。

 それは神の爲に宜しくはなく、また夫婦にとっても望ましいことではなく、もちろん、地球にとっても優しくはない。



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2011年06月23日

たま 七

 やがて夕風が吹き出すと、男が怒鳴り出した。
「どうしてこんなチャチなパンツを穿かなきゃならんのだ。全部、お前の所爲だぞ。どうしてくれるんだ」

 すると女はかう齧みついた。
「ヲロチに騙されたのよ。私だって、こんな趣味の惡いパンツなんか穿きたかないはよ」

「何っ?・・・ヲロチに騙されただと?あの蛇の野郎か。畜生、あいつは永久に地べたを這ひ囘ってやがれ。一生、埃でも舐めてゐろ。しかし、お前も同罪だな。お前の母さんはデベソだ。お前の子孫も、ヲロチの子孫も、一生、齧みつき合ってゐろ」

 かうして女は智慧と才覺を得た代はり、すべて憎惡と嫉妬に苛まれ、その判斷を狂はされるやうになった。

 また蛇は奸智と商才を得た代はり、惡コと惡食に染まり、その欲望にのたうち囘るやうになった。



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2011年06月22日

たま 六

 女は庭に生えてゐるそのわざとらしい木を見、
「本當においしさう。これを食べたら賢くなれさうな氣がする。賢くなれば、死ぬなんて怖くもない筈よね」
 さう云って、その木の實を取って食べた。

 男にも、
「ねぇ、あなたも食べないの?顏が馬鹿みたいよ」
 とそそのかした。

 夫は、
「そりゃ大變だ」
 と慌ててその實を食べた。

 さうして、
「きゃぁ、私たち、公然猥褻の罪よ」
「早く隱さなくちゃ」
 と自分たちの大事なところを手で隱した。かうして人類最初のパンツは手を象ったイチジクの腰巻だった。



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