2017年06月10日

五五菊しんぶん 六

「最近は新聞書かないの?」
「・・・」
「廢刊かい?」
「書くこともないし、誰も讀まないし」

「そもそも新聞なんていふのは社會の窗みたいなもんでしょ。みんな起きたら雨戸を開けて外を眺めて、やれ今日は洗濯日和だの、隣の爺さんはまだ元氣だのと見定めて安心してゐる。その爲にあるんだよ。だからお前も誰かに讀ませようなんて洒落氣は落として、お前が見た通りのことを書けばいいだろ。誰が讀まなくても構ひやしない。それでおまんま食べてる譯でもなし。新聞委員やらせて貰ってるだけ有り難いと思ひな。だいいち、誰も讀まないって、讀んだからこそ詰まらないと思って讀むの辭めたんだらうし、たまにはこっそり讀んでる變はり者も一人や二人はゐるんぢゃないの。その人はお前にとっては貴重な讀者ぢゃないの?」

「一人や二人ねぇ。確かに貴重か。有難くて涙が出て來る。あぁあたしも早くかっちゃんみたいにおまんまの喰へる仕事がしたい」

「急がなくても時が來れば嫌でもさうなる。さうなってから子供時分が懷かしくなる」

「かっちゃんは五年生ぐらゐのとき、何してたの」

「それを言ひ出すとキリがない。學校が遠かったから、毎日、母ちゃんが自動車で驛まで送り迎へしてくれた。あの頃の思ひ出は辛くて、あんまり思ひ出したくない。けれど懷かしい。父ちゃんと母ちゃんにもう一度逢ひたい。幽靈でもいいから・・・あぁ御飯が美味しくなくなるよ。早くお上がり」

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2017年05月31日

五五菊しんぶん 五

 人は。

 たぶん生まれたときのまま生きて行ければいちばん幸せなのだろう。

 しかしそうはいかない。警察につかまってしまう。

 しかし服を着かさねて王様のようになっても幸せではない。誰かがうそをつき、誰かがうらぎり、誰かがものを盗むかもしれないと疑っている。

 人は。

 どこにも行き場がない。おまえもあたしも。ちょうど鳥にも魚にもなれないものが地をはいずり回るように。

 そういうじぶんに気づいたとき、人はじゅうぶん幸せな自分を見る。

 空を見るな。海に入るな。地をふみ固めろ。お前たちよ。

(記事 五年五組 藤原しづ なんちゃってな)

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2017年05月19日

五五菊しんぶん 四

 昔。ある学校に食いしん坊の先生がいました。三時間目が終わると、もうお腹がすいたので、給食室に行き、
「はやく飯を出せ」と言おうとして、間違えて、
「早く女を出せ」
 と言ってしまいました。
 
 給食の女は怒って、
「ここには女なんかいないよ」
 と言おうとしましたが、間違えて、
「ここにはわししかいないよ」
 と言ってしまいました。

 すると先生はおどろいて逃げて行きました。めでたしめでたし。

 (記事 五年五組 藤原しづ)

posted by ゆふづつ at 19:09| ノンカテゴリー | 更新情報をチェックする